長野県品質工学研究会
2025年10月10日(金)に2025年度の第6回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:9名)
以下の2つの事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
1.「MT法で「釣りが出来る日」を見抜く!(2nd Season)」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
釣りの可否を判断する「波判断」について、品質工学手法(MT法・T法)を用いた解析結果の報告した。
人間の主観評価と実測値である「有義波高」とを比較したところ、T法解析により相関係数0.925を得て高い整合性が確認された。
一方で、依然としてデータのバラツキが大きく、予測精度向上が課題として残された。
なお、これまでの成果を基に簡易予測システムを試作し、釣行判断の参考に利用できる可能性が示された。
2.「T法での推定結果 「線形」と「非線形」の違いの実例」 (日精樹脂工業(株) 新井啓太)
L18直交表実験のデータを使って、生データをT法で推定して線形、非線形の違い等を紹介した。
標示因子によって一致するものと一致しないものがあった。
一致しないものは線形で相関係数0.7、非線形で0.93となり非線形で推定できていると思ったが、確認実験のデータと推定値の比較をしたところ一致しなかった。
確認実験の値と一致する事が重要で一致しないものはデータそのものに交互作用が疑われるとアドバイスがあった。
【共通テーマ】
「機能性評価の検討」
キッチンスケールの機能性評価に向けて、機器を購入した。
誤差因子(ノイズ)や入力の水準値についてディスカッションした。
2025年10月18日(土)、4県品質工学合同研究会をオンライン(主催は埼玉)にて開催した。
合同研究会とは、品質工学フォーラム埼玉(埼玉)、北陸品質工学研究会(富山、石川、福井)、山梨県品質工学研究会(山梨)、長野県品質工学研究会(長野)の合計4地区の地方研究会が、年1回各研究会持ち回りで開催しているイベントである。今回の合同研究会の内容については、品質工学フォーラム埼玉から詳しい内容の報告があると思うが、「各県の近況報告」や「ディベート(品質工学は役に立つ/役に立たない)」など非常に充実した内容であった。
2025年11月14日(金)に2025年度の第7回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:9名)
以下の4つの事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
1.「NGデータがない場合のMT法と多特性の損失計算」(顧問 岩下幸廣)
MT法においてNGデータがない場合、χ二乗分布を活用して判別基準とすることができる。集合の場合、マハラノビス距離MD二乗の平均値を使って判別することができる。損失を、m←μ、⊿←σ、特性間の相関行列→逆行列によってマハラノビス距離(MD)を計算し、品質損失L=A*MD^2で計算すると、経済性を考慮した考察ができる。以上について事例を挙げて検討した。
2.「品質工学(パラメータ設計)の根底に流れる合理的な考え方」((有)増田技術事務所 増田雪也)
品質工学(パラメータ設計)は、限られた実験回数で最大の技術的情報を得るための合理的な考え方であり、「完璧を目指さない」ことで開発を効率化する手法である。総当たり実験では多大な回数が必要だが、直交表(L9やL18)を用いれば、わずかな実験数で最適条件の見当をつけられ、個人の技量差にも左右されにくい。誰が実施しても安定した結果が得られるため、短納期・低コストの開発に有効である。
3.「関西品質工学研究会-QE教材「技術者の大冒険」やってみた」(シナノケンシ(株) 辻希望)
社内で実施した結果や感想などを報告した。
ゲームに熱中すると解説を読み込めなくなるという盲点はあったがとても盛り上がった。
ゲーム後は感想戦を実施したかったが、大人数(8名)ではゲーム自体に時間が掛かり出来なかった。少人数をオススメする。
この教材をどう活かしていくか、今のところアイディアはないが、良いアイディアがあれば取り入れていきたい。
4.「話題提供:PythonでMTを実装してみた」(長野県工業技術総合センター 児野武郎)
セミナー受講をきっかけにプログラミング言語Pythonに触れたので、MT法を実装してみた。
for文などを使わなくとも標準化やMD値計算が可能で、非常にシンプルにコードを書けることがわかった。
AIを同時に活用することで、簡単に高度なプログラムが実装できるので、大量のデータ分析も今後敷居が低くなると思われる。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)

